NPO法人江戸川手話通訳者協会会報誌『通研江戸公』第7号掲載

シャドーイングのすすめ

 通訳のトレーニング法のひとつにシャドーイングというのがある。
先日、乙川先生をお招きした時の講習会で、ろう者が出演するビデオを使って、みんなでもやったアレである。手話に限らず、言語を覚えるのに1番いい方法は真似することだという。小学校で通訳をした時など、子どもが通訳のほうを見て、一緒に手を振っていたりすることがある。私も、手話を始めたばかりのころ、通訳者をずっと見て、真似をして手を振っていた。言わば、シャドーイングしていたわけだが、熱心に手話を覚えようとされている方には申し訳ないのだが、今、通訳をやる側になって、どんなにそれが煩わしいかが分かる。通訳者を見ながらの生シャドーイングはやめましょう。ビデオという便利なものがあるのですから。

 
 さて、このシャドーイングはどんな効果があるのかというと、手話のボキャブラリーを増やすことや、
手話の持つリズムをつかむことなどが挙げられる。シャドーイングをするときは、手話を日本語に翻訳せずに手話のまま理解することが大事だと言われる。しかし、日本語が染み付いた私たちに手話を手話のまま理解するのはなかなか難しいのも事実だ。でも理屈でなく、感覚で分かるということはとても大事なプロセスだと思う。

 都講習会の同窓で、コーダの人がいるのだが、彼女に手話の使い方について尋ねると、
「ああ。あるかな」と言いながら、自分で表してみて、「なんか、しっくりこないなぁ。やっぱりないかな?」と言ったりすることがよくあった。ぼくなんかは分からない。「しっくりこない」という言い方がなかなかわからないのだ。日本語なら、ある。うまく説明できないけど、その言い方は、しっくりこない。だから、おかしい日本語だと断定することができる(おかしいとは気づかないまま使っている日本語も沢山あると思うが)。でも、手話の場合は、ここでうなずくのは、しっくりこないと感じたりする感覚がなかなか分からない。
 ところが、ビデオを使ってシャドーイングをするようになって、なんとなくその感覚をつかみかけてきた気がするようになった(なんとも自信のない言い様だが)。
 手話のシャドーイングは、ふつう、手を振るが、手が疲れてきたときにお勧めしたいのが、顔面シャドーイング。手は振らずに表情や、視線、首のうなずきなどを意識してシャドーイングする。できるだけ、呼吸も合わせると良い。

 
以下のタイトルは本書にてお楽しみください。

・復習は手話で?
・プロ選手から学ぶもの
・「ありますか!?」はありました!?