NPO法人江戸川手話通訳者協会会報誌『通研江戸公』第15号掲載

今回は去る4月22日に開催された江戸川区登録手話通訳者新人・現任研修会での講義内容を紙面にてお届け致します。江戸川区の同じ登録手話通訳者の前で手話通訳論について講義をするのは、今年で4回目となりました。毎回、原稿を話し言葉で用意しているので、その原稿が元になっていますが、実際に話したときに付け加えたことや、紙面に掲載する上で加筆したり、削除したりする部分も若干ありますので、ご了承ください。(編集部)


手話通訳に相応しい服装を通して

今年の春は黒が流行だそうですけど、大体、通訳者は服が黒くて評判が悪いですよね(笑)。服の色や、素材、靴、装飾品などについては、登録になる前にサークルや講習会で教わっていて、もう、みなさん、よく分かっていることだと思いますので、きょうは、もうちょっと突っ込んだ話をしたいと思います。

松山市登録手話通訳者の会で作成された、「病院における手話通訳チェックシート」には、病院での手話通訳者の事前準備や、待合室での確認事項など細かいマニュアルが載っているそうです。
その中に「手話通訳者の服装」という項目があります。つまり、手話通訳とは言語変換だけすればいいですよ。服装はどうでもいいですよということではないということです。服装のチェック以外にも、現場において、どう関係作りをしたかなどの項目もあるそうです。
つまり、手話通訳者の服装、しぐさ、表情、立居振る舞いなどが、その場の雰囲気や、お互いの関係に影響を与えることがある。だから、注意しなくちゃならないんです。

特に、通訳現場で、依頼者の身内の人が一緒の場合は緊張しますよね。この手話通訳者は良いか悪いかをどこで判断されるか? 手話がうまい下手は分かりませんから、通訳者を見て、その通訳者の印象で、「この通訳さんは良い」とか「良くないな」という判断をされちゃうんですね。
「私、技術には自信があります」は、二の次です。通訳者に大事なのは先ず印象。第一印象は、その人の姿格好ですから、印象のいい服装って大事なんですね。
依頼者と会って、待ち時間など一緒に過ごして、そこで印象を悪くしてしまってもダメです。そうなったら、あとは、どんなにうまい通訳やってもダメです。

このあいだ、待ち時間がえらく長いのがあったんです。4時間半近くだったかな。そのとき、不満げな顔しちゃだめ、やたらに時計見ないって、自分に言い聞かせ続けていました。本当は、その日の夜に手話講習会があったので、内心、間に合うかどうか焦っていたのですが、夜に用事があるなんてことは言わない。遠慮なくどうぞ、何時間でも待ちますよって顔でいました。いざとなったときには、(昼クラスの講師の)飯塚さんに電話すればいいという安心感もありましたし。
これ、あとで触れますけど、一匹狼じゃなくてチームでやっている強みですね。万が一、自分が倒れるようなことがあっても、起こしてくれる人がいる。時には、代わりに走ってくれる。私たちが提供するサービスは誰でもいいというわけじゃありませんが、自分ができなくなったら、ハイそれでもう終わりというのではないはずです。
もちろん、今の時代は、依頼者のニーズも個別性が高くなり、複雑になっていますので、この人じゃないとダメだということを浜口さんなんかは一生懸命考えてくださって派遣のコーディネートをしていただいていると思います。

話を戻します。こちらが時間を気にしていると、相手方には、申し訳ないという思いをさせてしまう。だから、できるだけ、相手に嫌な印象を与える仕草をしないことが大切です。時計をチラチラ見たり、足を何度も組み替えたりとかですね。印象が悪いと、もうその通訳は失敗です。手話技術以前の問題として、その手話通訳者の服装や、立居振る舞いで印象が決まってしまう。服装というのは、単に依頼者にとって、手話が見えやすいとか、見えにくいとかだけの問題ではなくて、手話通訳に出掛けるときは、TPOに合った服装、良い印象を与える服装ということまでの配慮も大事になってくるんじゃないかなぁと思っています。
具体的に言えば、Gパンでいいのか? ミニスカでいいのか? 個人的にはミニスカはいいですけどね。ミニスカ通訳者とか居たら、カッコイイじゃないですか(笑)
あと、フリフリでいいのか?とかね。かといって、あまりにも地味というのも考えものですよね。
結論を言いますと、手話通訳をする際は、手話が見えやすい服装、動きやすい服装であることは当然のこと、その服装や、立居振る舞いで先ず良い印象をもってもらうことが大事。第一印象をよくすることで、良い関係を作っていく。こういうことが結果として、自分の通訳環境を整えることにつながっていきます。


以下のタイトルは本書にてお楽しみください。

・通訳後の反省
・通訳者集団の大切さ