藤田さんが、通信大学に入学を考えておられる頃に、大学へ問合せの電話通訳を何度かさせて頂いたことから(これって守秘義務違反だよね、もう時効にしてね!!)、このスクーリング通訳に関するお付き合いがこの時すでに始まっていたのだと、今となっては思えます。

 その後入学を果たされ、勉学に勤しまれる藤田さんから、初めて通訳依頼をお受けし当会が活動したのは、平成15年10月12・13日、当会がまだNPO取得をしておらず、前身の江戸川区登録手話通訳者協会当時のことでした。この以前に、藤田さんから通信教育事務室の課長さんとご自分の情報保障のあり方や通訳料についてやりとりを重ねておられることは聞かされていました。 

 ある日、藤田さんから「課長さんから大アさんのところに電話があると思うけどよろしく」と言われ、事実その通りになり、そのお電話で緊張しながらも課長さんに手話通訳の説明や通訳料の交渉をしたことを覚えています。課長さんは、藤田さんと何度もやり取りを重ねられる中、当会の存在や手話通訳の必然性は認知しておられましたが、通訳料について大学側がどうするか、どうあるべきかと悩まれていた様子でした。その後、藤田さんと私、藤田さんと課長さん、課長さんと私とのやりとりを何度も重ねていきました。そのお電話の中で、課長さんはいつも私達通訳者の活動を讃えて下さり、是非、NPO取得したほうが良いとのアドバイスなども頂けたものです。またその間、課長さんは地元を始めいくつかの地域の手話通訳者派遣制度やその料金について調査をされており、大学への手話通訳者派遣が各大学の裁量に任されていることや当会の通訳料がとても良心的だということにご理解を頂けたことも前進への要因だったように思います。
 
 しかし、残念ながらその年は通訳者配置は許可、それについての環境における協力はする、ただし予算が組まれていないため通訳料の大学側の負担はできず、つまり藤田さんの全額個人負担で通訳配置を認めるというものでした。来年度には活かすという課長さんのお言葉を信じ、希望を捨てずにと藤田さんと話したものでした。続いて、同年11月2日・3日のスクーリング通訳料も藤田さん全額個人負担でした。前回と今回のスクーリング後は、藤田さん宛の当会からの請求書の複写を大学側にも提出し、藤田さん負担額を認知してもらい、是非、来年度の予算獲得に動いて下さるとようお願いを続けました。
 
その後、平成16年の8月のスクーリング通訳料は、藤田さんと大学側の折半という一歩前進が見られました。学内での稟議を重ねて下さったと課長さんからの後日談。そして今年度、平成 17年7月のスクーリング通訳料は、晴れて大学側の全額負担となったのです。

 課長さんとは年に数度のお電話でのお付き合いでしたが、3年越しで今年初めて現場でお目にかかれました。はじめまして・・・という言葉がなんとも不似合いな光景だったように思いました。
これも藤田さん、聴覚障害者ご自身の粘り強い訴えの賜物だと思います。もちろん、大学側の理解もあってこそです。私達通訳者が何かしたとするなら、それは一般聴者に「手話通訳者」という地味ながらも高度な専門性を有する通訳者が存在し、聴覚障害者の社会参加のため支援をしているのだということを伝えられたことでしょう。

 「今年度は大学側が通訳料全額負担」と聞いた瞬間、なんともいえない到達感が私を襲ったことは一生忘れられません。(おおさききよみ)