2003年3月。登通協で慎重に協議を重ねた結果、やはり、合同取得は現段階では難しいという結論に至った。

今までも、ろう団体、手話通訳者団体としてお互い別の団体として存在をしてきた。それは、もちろん別団体だからといって協力してこなかったわけではない。一緒に歩んできた。これからも、その関係は変わらない。むしろ、それぞれが法人格を取得した団体として存在するほうが社会に対して何の団体なのかということが明確になるとの思いもあった。

  また、江聴協との合同取得を断念した、もう一つの理由に、この頃に設立された、江戸川区中途失聴難聴者の会の存在があった。江聴協が合同取得をしようとしていた協力団体の中に中難の会は入っていなかった。にもかかわらず、手話通訳者団体がどちらかの団体にだけ寄り添うかたちになるのはよくないという意見もあったのだ。

合同取得ということだったので、通訳者団体、各手話サークルの思いが一致に至らなければ、江聴協も法人化は断念するのだろうと思った。ところが、江聴協は、それでは、江聴協だけで法人格を取得しようと準備を始めた。つまり、合同取得というかたちにこだわりはなかったのだった。通訳者側の賛同あるなしに関係なく法人化を既に決めていたということに対して、どうのこうの言うつもりはない。むしろ、聴者の協力がなかったから諦めたという姿勢ではない自立した姿だと感じた。よし。自分たちも頑張ろうという励みになった。

実際に、江聴協理事長(当時)からは、こんなことを言われた。「社会の流れは、措置から契約になっている。将来、手話通訳も支援費に移行したら、どうするんだ? 自分たちの行く末を考えたほうがいい」その言葉を受けて、NPO法人をすぐに取得できるかどうかは分からないが、江聴協に続けという思いで、とにかくNPO法人についての学習をしようということになった。私たち自身で法人化のことを調べ出したのは、江聴協よりずっと後のことで、江聴協が法人化を表明した後のことである。

江聴協理事長の仰っていたことは、もっともなことだった。江戸川区はアウトソーシングに力を入れているからだ。例えば、学校給食などは業者に委託をしているし、ガイヘルなんかは支援費でやっている。そして、2003年春から、区派遣の業務をそれまでの自立援助係から支援費事業係に移動したのだ。通訳者自身、支援費についての知識も不十分だったということもあり、早速、登録手話通訳者の自主研修会に支援費事業係の係長さんをお招きして支援費事業についての学習と、区派遣が支援費に移行する準備なのかという率直な疑問をお尋ねした。実際は、支援費に移行することはないとの回答だったが、当然のことながら、将来のことまでは何とも言えない。

自分たちの行く末について、つまり、区派遣が支援費に移行した場合、手話通訳業務を行なう団体が必要になってくるわけだが、そのとき自分たちはどうなるのか? ひょっとすると、全然関係ないところが手話通訳派遣を始めるということだって考えられる。手話通訳派遣のコーディネートを委託するということも考えられる。もし、そうなったときに実績があって社会的に信頼のできる手話通訳派遣の団体が必要になってくるのは間違いないだろう。


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